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セクハラとは、セクシャルハラスメントの略称で、職場内で行われる性的言動によって、労働者の就業環境が害されたり、就業上不利益に扱われたりすることです。
幅広い概念で、様々な言動がセクハラに該当し得ることになっています。
厚生労働省が定めているセクハラ指針は、職場におけるセクハラを対価型セクハラと環境型セクハラに分けています。対価型セクハラとは、上司が部下に対して身体の関係を求め、これに拒否されてその部下に不利益な異動を命じるなどが典型例です。環境型セクハラとは、事務所内にヌードポスターを掲示し、労働者がこれに苦痛を感じて業務に専念できない状況などが典型例です。
セクハラ指針の詳細はこちらをご参照ください。
また、同じく行政機関である人事院は、人事院規則10-10運用通知という通知で、セクハラになり得る言動を列挙しています。性的な経験を質問するといった言動のみならず、「男のくせに根性がない」といった性差別的な言動もセクハラになり得るとされています。
裁判例でセクハラと認められた行為も多岐にわたりますが、例えば、特定の女性職員に対して下の名前で呼んだ行為や、いわゆる壁ドンなども、当該具体的状況の下ではセクハラになり得ます。
すなわち、ひとえに「セクハラ」と言っても、肉体関係を求めたり、キスを求めたり、身体的接触を求めたりするなどの物理的瀬職がある場合に限らず、
性差別的な発言やヌードポスターを貼るなどの行為もセクハラに該当することになります。
上記のとおり、「セクハラ」の中でも、その内容は多岐にわたるところです。
よって、「セクハラ慰謝料の相場が●●円である」と説明することは難しいです。
セクハラの態様や内容によって、個別に判断されることになります。
ただし、イメージを掴んでいただくためのおおよその目安としては、下記の金額が参考となります。
1 肉体関係を強要された場合
強姦や、強姦に至らないまでも意に反する肉体関係を強要された場合です。
概ね200万円程度が目安となります。
ただし、計画性や継続性(1回だけでなく複数回あった等)等の周辺事情によって増額されます。
2 肉体関係はないが性器の接触がある場合
性器を触る・触らせる、乳房を直接触る等の行為です。
150万円~200万円程度が目安となります。
ただし、継続性や両者の立場、接触の悪質性によって増額されます。
3 衣服の上から身体的接触がある場合
衣服の上から臀部や胸部を触る、キスを強要する等の行為です。
100万円前後が目安となります。
ただし、継続性や両者の立場、接触の悪質性によって増額されます。
4 性的発言に留まるもの
10万円~80万円程度が目安となります。
発言の内容や継続性によって大きく変わるため、幅が広めです。
発言が性行為を求めるような内容であれば高くなりやすく、交際関係を尋ねる程度であれば低くなりやすいです。
慰謝料の相場でも若干ご説明しましたが、慰謝料は個別具体的な内容によって増減します。
その要素は、セクハラ行為時の事情、セクハラ行為前の事情、セクハラ行為後の事情など多岐にわたります。
計画性、継続性、セクハラ行為そのものの悪質性もその一部です。
これらの他にも、増減事由として重要なものとして、例えば、以下の事由があげられます。
1 自殺(または未遂)に追い込まれた
死亡による逸失利益が考慮され、増額されます。
2 退職を余儀なくされた
退職を余儀なくされた場合、退職による逸失利益を考慮して増額される可能性が高いです。
3 うつ病等の精神疾患を発症した
療養や休業の必要性も考慮して増額される可能性が高いです。
ただし、この場合、診断書の記載内容がとても重要となります。
4 相手方が著名人である
これは、示談交渉段階限定の事由となります。
相手方が著名人であり、かつセクハラ行為が周囲に公表されていない状態であれば、相手方は公表されることによるデメリットを恐れ、口外禁止を前提に高額の慰謝料を支払ってもらえることがあります。
著名人といっても、芸能人等だけでなく、セクハラが公表されると不利益を被る相手方が該当します。
たとえば、医者、大きな企業での課長格以上、FC店の店長等は、口外されないように高額の慰謝料を支払うケースも多いです。
慰謝料請求の相手方は、基本的に、セクハラをした加害者と会社が考えられます。
ただし、会社を訴えるためには、会社がセクハラ行為を知っていた、またはセクハラ行為をしそうであることを予見できた、という立証が必要になります。
逆に、会社にもセクハラ被害を訴えたにもかかわらず、会社が何も対応をしてくれなかった場合には、加害者によるセクハラ被害とは別に、会社の不対応も理由として慰謝料を追加で(または増額して)請求できる可能性があります。
では、加害者と会社と、どちらに対して請求するのが良いでしょうか。
この判断は、加害者や会社の属性によって、戦略的な判断が求められるところです。
1 加害者だけに対して請求した方が良い場合
加害者が会社に周知公表されないよう、相場より高い金額を支払ってくれる可能性が高い場合は、示談交渉段階では加害者だけに請求をした方が良いことが多いです。
ただし、裁判となるのであれば、会社をも相手方に追加するかは別途検討が必要です。
2 会社に対しても請求した方が良い場合
加害者にお金が無さそうな場合は、会社に対しても請求をした方が良いです。
お金がない人だけに請求をしてもお金をとることができませんので、会社に支払ってもらうために会社に請求した方が良いです。
また、示談交渉段階では、加害者が会社にとって必要な人材の場合にも、会社に対しても請求した方が良いです。
この場合、会社側は、加害者のセクハラが周知されることによって加害者が会社からいなくなってしまうことを恐れ、会社が高額な慰謝料を支払ってくれることもあります。
その他、証拠の状況等も考慮して、誰に対してどのように請求していくのかを検討する必要があります。
この判断は、当該分野に精通している弁護士にしか出来ません。
特に、請求の相手方は、一度請求をしてしまうと、後には変更が出来ないことも多いです。
よって、まずは弁護士にご相談されることを強くおすすめいたします。
慰謝料を請求するためには、証拠が必要になってきます。
必要な証拠は、基本的にはセクハラ行為の被害を立証するための証拠です。
録音音声,メールやLINEの履歴,同僚の証言,会社が事態を把握してる場合には会社による聞取り調査の結果が出てくることもあります。
しかし、弁護士にご相談いただいた後に証拠を取ることができる可能性もあります。
証拠がないからといって、すぐに泣き寝入りするのではなく、一度弁護士にご相談されるのが良いかと思います。
また、精神疾患の発症等がある場合には、医師の診断書が必要になります。
ただし、診断書の記載内容によっては、逆に不利になってしまうこともありますので、記載内容にも気を遣う必要があります。
戦略次第ですが、主に、慰謝料請求のためには、下記の手順を踏んで進めていくことが多いです。
1 証拠を集める
セクハラ被害にあった際にすぐに証拠をとっておくのが一番ですが、証拠が手元になければまずは証拠集めが必要になります。
上記のとおり、この時点から弁護士にご相談いただくことをおすすめしております。
2 請求相手や請求方法といった戦略を決める
3 示談交渉によって相手方に慰謝料を請求する
基本的には、まずは示談交渉から開始することがほとんどです。
4 裁判上の手続を利用する
示談交渉で話がまとまらないのであれば、裁判上の手続を利用するほかありません。
しかし、ひとえに裁判上の手続と言っても、訴訟,労働審判,調停といった複数の手続があります。
どの手続を選択するかは、必要な期間や証拠の状況から戦略的な判断が必要です。
相談者様は、会社の支店長からキスを強要されたとして相談にいらっしゃいました。
ただし、キスは一回のみで、継続性はありませんでした。
相場観からすれば、100万円取れれば十分だろう、という程度でした。
しかし、このセクハラの事実は社内で周知されておらず、相手方もこの事実を隠したがっていました。
よって、相談者様と協議のうえ、相手方に対する社会的制裁よりも自身の金銭的解決を優先することとし、
口外禁止等の条件を前提にして、相場観の約2倍にあたる200万円の慰謝料を勝ち取ることができました。
※プライバシー保護のため、若干事例を改変しております(金額部分は改変しておりません)。
このように、状況と戦略によっては、相場以上の金額を勝ち取ることも十分に可能です。
まずは、一度弁護士にご相談ください。