よい ゴール0120-410-506
保証とは、ある債務者がその債務を履行しないときに、その者に代わって他の人が履行をする責任を負うことです(民法446条1項)。保証をすることを約束する契約を保証契約といいます。今回は、この保証契約の成立要件について紹介させていただきます。
保証契約の成立要件を紹介する前提として、保証契約の関係に登場する3人の人物について紹介させていただきます。
保証では、保証人、主たる債務者、債権者という3人の登場人物います。
保証人とは、ある債務者(次で紹介する主たる債務者のことです。)がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う者のことです。
債権者は、主たる債務の履行を請求できる人のことです。
主たる債務者とは、保証人が履行をする対象になる債務を負っている人のことです。
次に、保証を説明する際に、よく利用される言葉を説明します。
主債務とは、保証人が保証している債務のことです。
保証債務とは、保証人が債権者に履行しなければならない債務のことです。
債権者が保証人と保証契約を締結すると、債権者は、債務者だけでなく、保証人に対しても、債務の履行を請求することができるようになります。すなわち、もしも、債務者が債務を履行してくれないときであっても、保証人から債権の満足を得られることになります。このように、債務者以外の者からも債権の満足を得られる制度のことを人的担保といいます。
保証契約は、主たる債務の担保を得るために締結される契約だということもできるでしょう。
さて、以上を前提に、保証契約の成立要件について説明します。なお、以下で説明する要件に
保証契約が成立するための要件は3つあります。
① 債権者と保証人が保証契約を締結したこと
② ①の保証契約が書面でなされたこと
③ 主たる債務が存在していること
では、これらの3つの要件について、詳細にみていきましょう。
保証契約は、債権者と保証人の間で契約を締結することで成立します。すなわち、主たる債務者が契約に加わる必要はありません。
ここで、保証契約と混同しやすい、保証委託契約について紹介します。
保証委託契約とは、債務者が保証人に保証をすることを委託することを言います。保証契約は、保証人と債権者の間の契約により成立しますが、保証委託契約は、保証人と主たる債務者との間で契約を締結することにより成立します。
保証委託契約は、保証契約とは別個の契約です。保証委託契約の有無により、債権者・保証人・主たる債務者の3人の法律関係が変わることはあります。しかし、保証委託契約が締結されていることは、保証契約の成立要件ではありません。言い換えれば、保証人が主たる債務者から「債務を保証してほしい」という委託を受けないで保証契約を締結することもできます。
保証契約が成立するためには、保証人と債権者との間で締結される保証契約が書面でなされる必要があります(民法446条2項)。言い換えれば、書面でしなかった保証契約は無効とされます。
保証契約は、物を買うといった売買契約と異なり、お金を支払ったとしても、相手から何か物が貰えるわけではありません。保証契約が、単なる口約束で成立するとしてしまうと、対価もなく、他人の債務を履行しなければならない義務を負うことになってしまいます。そこで、保証人となる者に、慎重に契約を締結してもらうために、保証契約の成立の要件に書面で契約を締結したことが課されています。
なお、保証契約の内容を電磁的記録に記録した場合も、書面でなされたものとして、保証契約は有効に成立することになります(民法446条3項)。
上述したように、保証契約は、主たる債務を担保するために締結されます。そうすると、主たる債務が存在しないときには、契約を締結する意味がありません。そこで、主たる債務が存在することが要求されています。
主たる債務が、そもそも存在しなかった場合、主たる債務の発生原因となった契約が無効であったりや取り消されたりした場合には、保証契約が有効に成立しないことになります。例えば、主たる債務の発生原因である消費貸借契約が公序良俗に反して無効となる場合には、保証契約は不成立となります。
なお、主たる債務が、保証契約を締結した時点で存在しない場合であっても、将来発生する場合には、保証の対象となる主たる債務にできます。
以上でみてきたように、保証契約の成立要件は、①保証契約の締結、②①の締結を書面でしたこと、③主債務の存在の3つになります。保証契約に基づいて、保証人に対して債務の履行を請求する場合には、以上の3つの事実を主張する必要があります。
なお、根保証契約や連帯保証契約である場合、事業のためにした貸金等債務については、別途成立要件が加わる場合があります。
保証債務でお困りの場合には、弁護士までお問い合わせください。