
よい ゴール0120-410-506
現代の情報社会では、インターネット上の記事が半永久的に残り、個人の過去の出来事やトラブルが長く晒されることがあります。とりわけ、過去の逮捕歴や刑罰に関する報道が名前検索で表示され続けることで、社会生活や就職活動などに支障をきたすケースも少なくありません。
こうした中、ネット記事に対する削除請求が法律上どのように認められるのかが、裁判所でも争点となってきました。本稿では、最高裁が判断を示した2つの重要判例を紹介し、削除請求が認められる条件について解説します。
削除請求の法的根拠は、人格権の一部であるプライバシー権に基づきます。判例法理上、個人の私生活に属する情報をみだりに公開されない利益は、法的に保護されるべきとされています。
したがって、プライバシーに関する情報が無断で掲載されることで人格的価値が損なわれる場合には、削除や差止めを請求できる可能性があります。
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この事件では、削除請求者が児童買春容疑で逮捕・罰金刑を受けたことが報道され、その後Googleで名前を検索すると、逮捕に関する記事の要約が表示される状態になっていました。
最高裁は、Googleの検索結果表示を「検索事業者自身による表現行為」と位置付け、その行為が情報流通の基盤を支えているという重要性を強調しました。
その上で、以下のような比較衡量の基準を提示しました:
削除請求者の「当該事実を公表されない法的利益」と、「情報提供の公益性・必要性」を比較して、明らかに法的利益が優越する場合に限って削除が認められる。
最高裁は、「児童買春は社会的非難の対象であり公共の利害に関する事項である」と評価し、検索結果が地域・名前に限定されていることも考慮して、削除請求を認めませんでした。
次に紹介するのは、逮捕情報が掲載されたツイートに対する削除請求が争点となった事件です。この事件では、グーグル事件とは異なり、「優越するかどうか」のみが判断基準とされ、「明らかに優越」という厳格な基準は課されませんでした。
最高裁は、以下の点を重視しました:
・逮捕から8年以上が経過している
・刑の効力は既に失われている
・元記事自体は削除済み
・140字制限の速報的な投稿だった
これらの事情から「本件事実の公共性は薄れており、長期間の表示は想定されていない」と判断し、削除請求を認めました。
項目 | グーグル事件 | ツイッター事件 |
---|---|---|
判断基準 | 法的利益が明らかに優越 | 法的利益が優越すれば可 |
公共性評価 | 高い(児童買春の事実) | 経年により低下 |
結論 | 不認容 | 認容 |
補足コラム:
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・名誉毀損罪の処罰を免れることができる場合
これらの判例からわかるように、削除請求が認められるかどうかは記事の内容、経過時間、媒体の性質、公益性など、総合的な要素の評価に基づいて判断されます。
「自分の場合は削除請求が認められるのか」と疑問を感じた方は、ぜひ一度、弁護士にご相談ください。具体的な事情を丁寧に検討することで、実現可能な対応策をアドバイスいたします。