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このコラムでは、刑事事件において起訴後に勾留された場合に認められる「保釈」について、弁護士が詳しく解説します。
刑事事件の手続きでは、起訴される前の段階を「被疑者勾留」、起訴後の段階を「被告人勾留」と呼びます。保釈という制度は、起訴後の被告人勾留の段階になって初めて利用可能になります。つまり、被疑者勾留段階では保釈請求を行うことは法律上認められていません。そこで、このコラムでは起訴後の被告人に対する保釈請求に焦点を当て、その具体的な内容や条件などを詳しく説明します。
保釈とは、起訴後に勾留されている被告人が、裁判所が定めた保証金を納めることにより、一時的に身柄の拘束を解かれる制度です。この保証金を納めることにより、被告人が逃亡や証拠隠滅といった行為を行うリスクを心理的に抑制し、裁判の適正な進行を確保しようという目的があります。
保釈制度は、その運用方法や認められる条件により、以下の3つの種類に分けられます。
保釈の請求は、刑事訴訟法第88条第1項によって規定されています。これに基づき、勾留されている被告人本人、その弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系親族、兄弟姉妹が行うことができます。
裁判所は、保釈を許可する場合には、必ず保証金額を決定します(刑事訴訟法第93条第1項)。この金額は、犯罪の性質、被告人の性格や資産状況、証拠の強弱など、様々な要素を総合的に判断して決定されます(刑事訴訟法第93条第2項)。
この保証金は、被告人が逃亡や証拠隠滅などの行為を行った場合には、一部または全額が没収されることになります(刑事訴訟法第96条第2項)。したがって、被告人はそのような行為を行わないよう特に注意が必要です。
また、裁判所は保釈を認める際に、被告人の居住地を限定したり、特定の場所への立ち入りを禁止したりするなど、様々な条件を付けることが可能です(刑事訴訟法第93条第2項)。これらの条件は、逃亡や証拠隠滅の防止を目的としています。
権利保釈は、刑事訴訟法第89条に基づき、一定の例外を除いて必ず認められる保釈です。具体的には以下の例外的事由が定められています。
また、第1審で禁錮以上の刑に処する判決が宣告された後は、権利保釈の適用は認められません(刑事訴訟法第344条)。
裁量保釈とは、権利保釈の条件に該当しない場合でも、裁判所がその裁量により認めることができる保釈です(刑事訴訟法第90条)。裁量保釈を認める際には、被告人の逃亡や証拠隠滅の可能性、勾留継続による被告人の健康上・経済上・社会生活上の不利益などを総合的に判断して決定されます。
義務的保釈とは、勾留期間が不当に長くなった場合に裁判所が必ず認めなければならない保釈です(刑事訴訟法第91条第1項)。これは、被告人やその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系親族、兄弟姉妹の請求によって認められるものです。
保釈制度は、保証金を通じて被告人の逃亡や証拠隠滅を防止しつつ、裁判中の身柄拘束を緩和する重要な制度です。保釈制度の具体的な運用や、実際の事件での見通しについては、刑事事件を専門とする弁護士に相談することが重要です。当事務所では、刑事事件全般の公判弁護を通じて保釈にも積極的に取り組んでおります。具体的な事件についての相談や、公判を通じて保釈を実現したいとお考えの方は、ぜひお問い合わせフォームよりご連絡ください。