
よい ゴール0120-410-506
刑事事件がニュースで報じられる際、「捜査」「令状」「逮捕」などの言葉をよく耳にします。
本記事では、刑事訴訟法における捜査の意味や、捜査を行う機関、捜査の際に守られる法律上のルールについて、わかりやすく解説します。
→ 強制捜査と任意捜査の違いはこちらの記事で詳しく解説しています
刑事訴訟法上、捜査とは、捜査機関がある犯罪の発生を疑うとき、犯人と疑われる者を発見して身柄を拘束したり、犯罪の証拠を集めたりする手続をいいます。
これらは、検察官が起訴をして公判を遂行するために行われるのが基本です。
捜査の対象は原則、捜査開始前に発生した犯罪ですが、例外もあります。
例えば、繰り返し行われる犯罪や、発生が強く予想される将来の犯罪も捜査対象とされることがあります。
これは、検察官の目的が公判の遂行にある点で、過去の犯罪と異ならないからです。
刑事訴訟法は、捜査を担当する国家機関として以下を定めています:
・司法警察職員
・検察官
・検察事務官
司法警察職員には次の2種類があります:
・警察官(一般司法警察職員)
・森林や鉄道など特定分野を担当する者(特別司法警察職員)
特別司法警察職員には、麻薬取締官や海上保安官などがいます。
司法警察職員はさらに、次のように区別されます:
・司法警察員
・司法巡査
司法警察員は、逮捕状の請求(刑事訴訟法199条2項)、逮捕後の手続(同203条)、捜索差押許可状や検証令状の請求(同218条4項)、鑑定請求(同224条)、鑑定嘱託許可の請求(同225条)などの権限を持ちます。
一方、司法巡査にはこれらの権限がありません。
検察官は、自ら犯罪を捜査することが可能です(刑事訴訟法191条1項)。
また検察事務官も、検察官の指揮を受けて捜査を行うことができます(同2項)。
刑事訴訟法は、検察官と司法警察職員が捜査で互いに協力し合う関係であることを定めています(同192条)。
検察官は司法警察職員に対し、捜査全般について一般的な指示を行うことができます(193条1項)。これを「一般的指示権」と呼びます。
検察官はまた、捜査協力を求めるために一般的指揮を行うことも可能です(同2項)。これを「一般的指揮権」といいます。
さらに検察官は、自ら事件を捜査する際に司法警察職員を指揮して捜査を補助させる権限を持ちます(同3項)。これが「具体的指揮権」です。
司法警察職員は、検察官の指示や指揮に従う義務があり(同4項)、正当な理由なく従わない場合には懲戒や罷免の訴追がされることもあります(同194条)。
捜査の中には、国民の基本的権利を制限する行為も含まれます。
たとえば、逮捕や勾留は移動の自由を、差押えは財産権を制限するため、刑事訴訟法では厳格な規律が設けられています。
強制処分法定主義とは、強制的な処分は刑事訴訟法に特別の定めがなければ行えないという原則です(197条1項ただし書)。
これは、憲法31条が保障する手続法定主義に基づきます。
令状主義とは、強制処分を行う際には裁判官が正当な理由と必要性を審査し、令状を発付することを原則とする考え方です。
強制手段を伴わない捜査は「任意捜査」と呼ばれます。
ただし、任意捜査であっても、目的達成に必要な範囲に限ることが求められています。
刑事訴訟法は、捜査を行う上で多くのルールを設け、国民の権利を守る仕組みを整えています。
もし、警察などの捜査対応にお困りの方は、弁護士への相談をおすすめします。