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本記事では、刑法に規定される「横領罪」について詳しく解説します。
横領罪がどのような行為によって成立するのか、また「窃盗罪」など他の財産犯との違いについても、弁護士の視点からわかりやすくお伝えします。
この記事を読むことで、横領罪の成立要件や種類(単純横領罪・業務上横領罪・遺失物横領罪)、実務での扱いについての理解を深めることができます。
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横領罪は、自己が占有する他人の財物を不法に取得・処分する行為を処罰する犯罪で、刑法第252条第1項に規定されています。
横領罪は、次の3種類に分類されます。
・単純横領罪(刑法252条)
・遺失物等横領罪(刑法254条)
・業務上横領罪(刑法253条)
このうち「遺失物等横領罪」は、所有権の侵害を処罰根拠とする犯罪です。これに対し、「単純横領罪」「業務上横領罪」は、所有権の保護に加えて、委託信任関係の保護も目的とされています。
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横領罪は、占有移転を要件としない点において、窃盗罪や詐欺罪と明確に区別されます。
つまり、犯人が行為前から財物の占有者であった場合に横領罪が成立しますが、占有が行為によって初めて移転した場合には窃盗罪となります。
さらに、「物」以外の財産的利益は横領罪の対象とならないという制限もあります。
客観的構成要件
1.行為者が物を占有している
2.その占有が委託信任関係に基づく
3.対象物が「他人の物」である
4.横領行為が行われた
主観的構成要件
5.委託関係に基づく物を横領する認識(故意)
6.不法領得の意思(正当な権限がない処分意思)
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ここでいう「占有」とは、事実的または法律的支配を指すもので、不動産登記名義が犯人名義である場合も含まれます。
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横領罪が委託信任関係の保護を目的とすることから、単なる物の保管以上の、信頼関係に基づく預かりである必要があります。
不法領得の意思を持つ行為(例:勝手な売却・贈与・担保設定・着服など)が横領行為とされます。
客観的構成要件
1.物の占有
2.委託信任関係に基づく占有
3.業務上の占有であること
4.他人の物であること
5.横領行為が行われたこと
主観的構成要件
6.業務上の委託関係に基づく物を横領する認識(故意)
7.不法領得の意思
「業務」とは、社会的地位に基づいて反復継続的に行う事務を指します。業務上横領罪は、特に「他人の物を委託管理する業務」である点が重要です。
この要件が認められることで、単純横領罪に比べてより重く処罰されることになります。
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・遺失物等横領罪は所有権の侵害のみを対象とし、
・単純横領罪・業務上横領罪は委託信任関係も保護することを目的としています。
・窃盗罪と異なり、占有の移転を要件としないという特徴があります。
具体的な事件で横領罪が成立するか否かは、個別の事情をもとに判断されるため、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
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