よい ゴール0120-410-506
被告人が起訴されてから、判決が出るまでの流れを公判手続といいます。
今回は、公判手続の中で行われている証拠調べ手続、その中でも特に、冒頭陳述・公判前整理手続の結果顕出にフォーカスしてご紹介させていただきます。
公判手続は、大まかに言えば、5つの段階があります。その5つは、①冒頭手続、②証拠調べ手続、③論告・弁論・最終陳述、④評議、⑤判決になります。
①冒頭手続
↓
②証拠調べ手続
↓
③論告・弁論・最終陳述
↓
④評議
↓
⑤判決
証拠調べ手続は、原則として、冒頭手続の後に行われます(刑事訴訟法292条)。冒頭手続についてはこちらの記事をご覧ください。
この証拠調べ手続の大まかな流れは以下の通りです。
⑴ 冒頭陳述
↓
⑵ 公判前整理手続の結果顕出
↓
⑶ 証拠調べ請求
↓
⑷ 証拠調べ決定
↓
⑸ 証拠調べの実施
証拠調べをはじめるに当たり、検察官は、証拠により証明すべき事実を明らかにする必要があります(刑事訴訟法296条本文)。これを検察官の冒頭陳述といいます。
なお、冒頭陳述と冒頭手続とは異なります。冒頭陳述は、証拠調べ手続のはじめに行われるものですが、冒頭手続は、証拠調べ手続に先立って行われる手続のことです。
検察官の冒頭陳述により、裁判所に対して、公判で証明予定事実の全体像が明らかにされます。また、検察官側の立証方針が示されることにもなります。これにより、裁判所が訴訟運営を行いやすくなります。
被告人側にとっても、検察官側の主張・立証に対して、どのように防御をすればよいかがわかります。このように、冒頭陳述には、被告人に防御の対象を示す効果があります。
検察官の冒頭陳述が行われた後に、裁判所は、被告人又は弁護人にも、証拠により証明すべき事実を明らかにすることを許すことができます(刑事訴訟規則198条1項)。これも冒頭陳述といいます。
通常の刑事裁判手続の場合には、被告人側の冒頭陳述は行わなくてもよいです。しかし、公判前整理手続を実施した場合には、被告人又は弁護人は、証拠により証明すべき事実その他の事実上及び法律上の主張があるときは、これを明らかにしなければならないとされています。
なお、裁判員裁判が実施されている場合には、公判前整理手続を実施しなければならないと定められています(裁判員法49条)。したがって、裁判員裁判を実施している場合には、被告人側の冒頭陳述を行わなければならないことになります。
裁判員裁判が行われている場合に実施される検察官及び被告人側の冒頭陳述は、公判前整理手続における争点及び証拠の整理の結果に基づき、証拠との関係を具体的に明示しなければならないとされています(裁判員法55条)。
裁判員裁判では、検察官・被告人側双方から主張が明らかにされることで、具体的な争点と審理の道筋が浮かび上がってきます。
検察官・被告人側の冒頭陳述では、証拠とすることができない資料または証拠として取調べを請求する意思のない資料に基いて、裁判所に事件について偏見又は予断を生ぜしめる虞のある事項を述べることはできないとされています(検察官側の冒頭陳述は、刑事訴訟法296条ただし書。被告人側の冒頭陳述は、刑事訴訟規則198条2項。なお、公判前整理手続を経た場合の被告人側の冒頭陳述については、刑事訴訟法316条の30。)。
公判前整理手続を経た場合、被告人側の冒頭陳述が行われた後に、裁判所は、公判期日において、当該公判前整理手続の結果を明らかにします(刑事訴訟法316条の31第1項)。この公判前整理手続の結果顕出は、公判前整理手続調書を朗読し、又はその要旨を告げる方法で行われます。裁判所は、自ら行うことも、書記官に命じて行わせることもできます。
この結果顕出は、非公開で行われた公判前整理手続の結果を公開法廷で明らかにするために行われます。
検察官の冒頭陳述が終了すると、次は証拠調べ請求が行われます。証拠調べ請求は、検察官及び弁護人が行うことができます(刑事訴訟法298条1項)。
証拠調べ請求がなされると、裁判所は、証拠調べをする旨の決定または却下する決定を行います。
また、証拠調べの決定がなされた証拠についてだけ、取調べられることになります。
今回の記事では、証拠取調べの冒頭に行われる手続について紹介させていただきました。起訴されてから、判決に至るまでの手続きを解説した記事は、他にもございます。ぜひご覧ください。
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