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今回は、民事訴訟において、どのような文書が証拠として取り扱ってもらえるのかについて紹介させていただきます。
【内部リンク:民事訴訟の場面において証拠となる文書はどのように提出しますか】

裁判所が文書を閲読してその内容を証拠資料とする証拠調べのことを書証と呼びます。そして、文書の証拠調べの申出は、①所持している文書を裁判所に提出する方法、②文書送付の嘱託をする方法、③文書提出命令の申立てをする方法という3つの方法によって行われます。
【内部リンク:文書提出命令が発令される要件について】
ここで、民事訴訟法における文書とは、文字その他の記号の組み合わせによって、人の思想等を表現する外観を持つ有体物のことを言います。そして、ここにいう思想とは、人の頭の中にある情報を意味しています。要するに、人の意思や事実の報告や感想などが記載されている有体物が文書になります。
文書は、その性質からさまざまな分類があります。ここでは、公文書と私文書、そして、処分証書と報告証書の区別の紹介をさせていただきます。
文書は、公文書と私文書という2つに区分できます。
公文書とは、公務員が自己の権限に基づいて職務上作成した文書のことです。
私文書とは、公文書以外の文書を意味しています。
処分証書とは、証明の対象になっている法律行為がその文書によってされた場合の当該文書のことを言います。例えば、契約を締結するときに用いられた契約書などがあげられます。
報告証書とは、処分証書以外の作成者の意見や事実の報告などが記載されている文書のことを言います。
【内部リンク:保証契約について】
以上で示した定義は、法律行為がその文書に「よってされた」文書だけが処分証書に該当するという立場です。その文書によってされたわけではないが、法律行為が存在したことを示す文書についても、処分証書に含めるべきだという立場も主張されています。
これら2つの学説は、処分証書に当たるためには、「法律行為が文書に記載されている」という事実が主張されるだけでなく、「法律行為がその文書によってされた」という事実まで主張する必要があるか否かという点で異なっています。
文書においては、形式的証拠力と実質的証拠力という2つのキーワードが重要となっています。そこで、この節ではこれら2つのキーワードの違いについて紹介させていただきます。
文書は、その成立が真正であることを証明しなければならないとされています(民事訴訟法228条1項)。それでは、成立が真正であるとはどのような意味でしょうか。その点について理解するために必要な概念が文書の形式的証拠力の考え方です。
文書の形式的証拠力(このことを「文書の形式的証明力」と呼ぶ人もいます。)とは、挙証者、すなわち、当該文書を証拠として申し出た者が主張している特定人の思想がその文書で表現されていることを意味しています。そして、文書の形式的証拠力が認められるためには、文書がその特定人の意思に基づいて作成されたことが必要になります。これを、「文書の成立の真正」や「成立の真正」、「文書の真正」と呼びます。
真正に成立した文書は、原則として形式的証拠力が認められます。
例外的に、習字の目的で作成された文書は、その特定人の意思に基づいて作成されていたとしても、特定人の思想自体はその文書で表現されているとはいえないことから、形式的証拠力が認められないことになります。
文書の実質的証拠力(「文書の実質的証明力」という言葉を用いる人もいます。)は、文書に記載された内容が、証明の対象となっている事実、すなわち要証事実を証明するために、役立つのか否か、役立つとしてどの程度役立つのかという問題のことです。
要証事実を証明するためにどの程度役立つのかを判断するのは、裁判所に委ねられています。このような建前のことを自由心証主義と呼びます。
【内部リンク:裁判上の自白について】

公文書については、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときにその成立の真正を推定するという規定が設けられています(民事訴訟法228条2項)
最後に、私文書の成立の真正に関する規定についてご紹介させていただきます。
私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定するという規定があります(民事訴訟法228条4項)。
しかし、この規定にいう「押印」とは、平たく言えば、ハンコを押すという行為を意味しています。

すなわち、同項は、本人または代理人が自分の意思に基づいてハンコを押した行為が証明できれば、文書の成立の真正が推定されると考えています。
しかし、そのような証明が難しいことから、判例は、本人または代理人の印影が文書に顕出していれば、本人または代理人が自分の意思に基づいて押印したことが推定されるとしています。これは、印鑑を大事に保管しておくという経験則に基づいた事実上の推定の考え方です。

以上のように、文書を証拠として提出するためには、形式的証拠力と実質的証拠力が認められる必要があります。そして、これらが認められるためには、一定の事実を主張していく必要があります。
【内部リンク:相手方に弁護士費用を請求できるか】
具体的な事案においてどのような事実を主張すべきかについては、弁護士までお問い合わせください。
