リース契約中に当事者が破産したらどうなる? 法律関係と判例を弁護士がわかりやすく解説 | 弁護士法人リコネス法律事務所

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リース契約中に当事者が破産したらどうなる? 法律関係と判例を弁護士がわかりやすく解説

1 リース契約の当事者が破産した場合の法律関係とは

 今回は、最判平成29年12月7日民集71巻10号1925頁[倒産判例百選・58事件]を素材として、リース契約を締結している当事者が破産した場合の法律関係について紹介させていただきます。

2 判例でみるリース契約・所有権留保・破産の問題点

 まずは、同判例の事案の概要について、紹介させていただきます。

⑴ 事案の関係者を整理

 事案においては、たくさんの人物が登場することから、この節で整理します。

 まず、自動車を販売した会社が出てきます。この会社を、この記事ではA社と呼ぶことにします。

 次に、自動車を購入したあと、その後破産してしまったユーザーが出てきます。このユーザーのことを、この記事では、Bと呼ぶことにします。

 そして、今回の事案において原告となるA社とBとの間で締結された売買契約の代金を保証した会社が出てきます。この会社のことを、この記事では、Xと呼ぶことにします。

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 最後に、Bが破産したことにより選任された破産管財人がこの事案における被告になります。Bの破産管財人のことを、この記事では、Yと呼ぶことにします。

⑵ 自動車売買・保証・破産手続開始までの経緯

 ⑴と重複する部分もありますが、改めて今回の事案の概要を簡潔に紹介させていただきます。

 A社は、Bに対して、自動車を販売しました。この売買契約には、以下のような特約がついていました。

 ア A社は、Bが代金を完済するまで自動車の所有権を留保する。

 イ Bが期限の利益を喪失したときは、Xが代位取得した売買代金債権を弁済するために、本件自動車をXに引き渡すこと。

 ウ Xは、イの規定により引渡しを受けた本件自動車の評価額をもって売買代金の弁済に充てる。

 そして、自動車の販売代金を、Bから委託を受けたXが保証しました。

 この契約に基づいて引き渡された自動車の登録は、Aが所有者、Bが使用者となっていました。したがって、Xは今まで一度も自動車の登録を受けていないことになります。

 その後、Bが売買代金の支払いを怠ったことから、Xは、上記の契約に基づいて販売代金をA社に対して支払いました。一方で、Bは破産手続開始の決定を受けました。そこで、Xは、Bの破産管財人であるYに対して、自動車を引渡すように求める訴えを提起しました。

 Yは、Xが自動車の登録を有していないことから、別除権の行使は認められないということを主張しました。

3 判例を理解するために押さえたい3つのポイント

 この事案は、多様で複雑な法律関係から構成されています。そこで、前提となる知識をいくつか紹介しておきます。

⑴ 所有権留保とは何か

 所有権留保とは、売買契約を締結する際に、売主に所有権を留保する特約のことです。

 売買契約を締結すると、通常は、それにより目的物の所有権が買主に移転することになります(民法176条、意思主義の考え方)。例えば、今回の事案では、A社がBに対して自動車を販売しました。これにより直ちに自動車の所有権はA社からBに移転するはずです。

 しかし、このままだとA社は困った事態に陥る可能性があります。例えば、Bから代金が支払われなくなったにもかかわらず、第三者に自動車を転売してしまっていたときには、Aは自動車を取り戻すことはできなくなってしまいます。

 そこで、所有権を売主に留保する特約を付すことが判例上認められています。

 そして、所有権留保特約がついていれば、売主は、買主が売買代金を支払ってくれないときに、売買代金を担保するために自動車の所有権を行使して、買主が占有している自動車を引き揚げることができます。

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⑵ 破産手続でも行使できる別除権とは

 別除権に該当する一定の担保物権は、破産手続外で行使することが認められています。そして、所有権留保がなされている場合、この権利も別除権として行使できるとされています。

⑶ 保証人が権利を引き継ぐ「弁済による代位」とは

 弁済による代位とは、第三者が有している求償権を確保するために、債権とその債権に付随していた担保権をまとめて移転するという制度のことです(民法499条以下)。

 今回の事案においては、保証契約に基づいてBの代わりにX社が弁済を行った結果、X社はBに対して求償権を獲得しました(民法459条)。この求償権を確保するために、AがBに対していた売買代金債権とその担保である自動車の留保所有権がX社に移転したことになります。

4 保証人は登録がなくても別除権を行使できるのか

 弁済による代位が生じて、保証人であるXは、Bに対する求償権を確保するために、AがBに対して有する債権とそこに付随する担保を取得することは先ほど述べたとおりです。

 そして、自動車につき保証人を所有者とする登録がないにもかかわらず、A社から取得した留保所有権を別除権として行使することができるとしました。

 その理由は、以下に述べるとおりです。「購入者の破産手続開始の時点において販売会社を所有者とする登録がされている自動車については,所有権が留保されていることは予測し得るというべき」であることを理由に、「留保所有権の存在を前提として破産財団が構成されることによって,破産債権者に対する不測の影響が生ずることはない」としています。

5 リース契約中に破産した場合の実務上のポイント

 以上でみてきたように、自動車の登録を受けていないにもかかわらず自動車に対する別除権を行使することができる理由は、所有権留保がなされていることを登録によって知ることができる破産債権者は、弁済による代位が起きて保証人のような求償権を有する者が自動車を引き揚げることを想定できるからであると考えられます。

 この判例は、リース契約を締結しているときに、当事者が破産したとしても、保証人は、物件を引き上げることが契約内容によっては認められることが明らかにしました。

 具体的なリース契約において、どのような法律関係になるかについては、弁護士までお問い合わせください。

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